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今日は都市伝説との戦いはない。久々に平凡な一日が送れると思ったら爺さんに連れ出された。 なんか「馴染みの店に連れて行ってやる」だとか。ハンバーグ屋の匂いしかしないが…行ってみよう… 「『レストラン うわさの産物』…よくわからんネーミングセンスだな」「都市伝説にはぴったりの名前じゃろ?」 ……その関連の場所なのか…なんでこんな近代的な店が馴染みなのか不思議ではあったがそういう訳かい。 ギィイィ… レストランにはふさわしくない西洋の城のようなドアを開けると、いたって普通の店が広がっていた。 「おーぅい、来たぞー」「いらっしゃーい。…おぅ、ハンバーグの爺さん。それと…契約者さんか」 中にいたのはいたって普通のお兄さん。なんかこう…もっと牛頭人間とか出てくるのかと思っていた。 「で、なんじゃ?今回の用件は」「あぁ、それなんだが…今ちょっとあいつ外出てっからさ、もうちょっとあとで頼む」 他にもだれかいるってことか?じゃぁそいつが牛頭人間…?「なぜお主は牛頭人間ばかりに話が行く」 「ところで、今度店で新作のハンバーグ出そうと思っててさ…味見頼むわ」「……わしの採点は厳しいぞ…店長よ…」 おぉ、ハンバーグ爺さんの本領発揮か!? …… 「……ひどいだろ……考えに考え抜いて作った『つくばぁぐ』なのに…7点て…」「いや普通のハンバーグだろjk」 店長自慢の『つくばぁぐ』なるものはいたって普通のハンバーグに変なロボットの焼印が押されているだけのハンバーグだった。 「…それになんじゃこの肉は!変な味がするぞ!」しかも俺にわかるくらい変な味がする。 「都市伝説的にミミズ肉使ってみました☆」 「おいそれ先に言えよ」「わしの零式ドロップバーグを食らいたいのか?頬が落ちるぞ」 「おっと、あいつが帰ってきたみたいだ」おいスルーすんなよ。爺さんちょっと落ち込んでんじゃねーか… 「…?帰ってきた?誰も店には入ってきてないじゃん」「いや、帰ってきてるよ。俺の契約したのが」 …契約?つまりこの店長も都市伝説の契約者ということか? 「おんや?なんで出てこんのじゃ?いつもならすぐに出てくるじゃろうに」「まぁ、人見知り激しいからね。今日は見ない顔がいる」 そういって俺を指さして、「こいつはあれだ、ハンバーグの爺さんの契約者だぞ。怖い人じゃないから出てきてくれ、『こっちゃん』」 「……だからその名で呼ぶな」 呼ばれて厨房から出てきたのは普通の女の子。…狐耳、半透明、浮いてて物をすり抜ける、という点以外は。 「…えっと…あなたは?」「……いわゆる『こっくりさん』の類…」 はぁ、こっくりさん。実体ってこんな子だったのか。正直怖い話のイメージしかないから予想もしてなかった。 「この子とは小学校からの付き合いでねぇ。会ったのは…小3くらいかね?」「……君が…未来を知りたいって言うから…」 …店長とこっくりさんの馴れ初めを聞くこと30分… 「でまぁ、今はこうやって都市伝説の情報屋とレストランやりながら2人で暮らしてるってわけさ」「…はぁ」 「……不本意ながら…契約者とは一緒にいなければいけない…それが契約…」 「まぁそういう割には結構好きでいるように見えるがのぅ」「…そ、そんな訳ない。ミミズバーグでも食ってろ糞ジジイ」 「嫌々でもなんでもこんなかわいい娘が一緒にいてくれるならいいし。な、こっちゃん?」「か、かわいいとか言うな……あとその呼び方はするな…」 …なんだろう…店長がすごく憎たらしく感じる…こんないいツンデレ娘と契約しおって。ハンバーグぶち当ててやろうか。 「…そんなことより…今日は討伐依頼がある」「やっと本題かぇ。で、今回はどんな奴が暴れとるんじゃ?」 …また都市伝説と対決か。この前はダッシュ二ノ金を倒したばかりだってのに。 「今回はこいつ…『羊男』」 ―――『羊男』。とある大学の研究室で作られた羊頭人間。電極板をつけたまま脱走。 雨の日になると高校の校庭に出没し電極から放電を行い危険。感電被害者多数。 「…今回は一段と危険だな」「ああ…危険じゃ。かさジジイや二ノ宮像の数倍はな」 改造人間の類なら怪力は当然だとして、放電能力はかなりヤバい。へたすりゃ死ぬ。 「…で、報酬は何じゃ?」「びっくり○ンキー食べ放題5回分、って所かな」 おい!報酬微妙にしょぼいだろ!そんなんに命懸けてたm「よし、乗った!」…マジかよorz 「これで1カ月は食費が浮くわい」「そんなに浮くの!?」家では俺の作ったハンバーグめちゃ食う癖に。そのせいで俺夜いつも腹ペコなんだぞ。 ついでに言っておくがハンバーグ爺さんと契約すると「自分の食べた物のエネルギーを消費してハンバーグを作る」という能力。 「羊男は雨の日に現れる……そして次の雨の日は…明後日」「よし、明後日じゃな」 「あぁ、それと今回のカギだ。『け』ってでてる」 あぁ、そうか。こっくりさんは未来予知とかそんな能力だったっけな。「け」な。覚えとこう。 さぁ、決戦は…雨の日の高校だ! …しかしびっくりド○キー食うために命懸けて戦うとは…思ってなかったな… ……そういえばここレストランだったな。またいつか食いに来るか。 前ページ次ページ連載 - わが町のハンバーグ
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トイレの花子様 05 ~新章突入~ というわけで、夏休み。俺たちは学校のプールサイドにいた。 というのも、ここに敵が出るというのだ。ただ、機関のメイドさんいわく「弱いのか、サイヤ人みたいに気の大きさを変えられるのか分かりませんが、反応が微弱すぎるのと、まだ被害者がいないので敵の正体がつかめません」とのこと。 というか、そもそも敵かどうかも分からないので、その確認。もし害のある都市伝説なら駆除を頼みたいそうだ。 最初は「正体も分からないとか色々めんどい」と嫌がった花子様だが メ「機関の方で学校の無人化、プールの掃除と貸切を行います。半分遊んでかまいません。」 という一言で出撃が決まった。意外とこういうの好きなんだなーとしみじみする。 しかし俺にはある不安があった。それはおいおい分かるだろう。 真夏のプールサイド。そこに悪魔がいた。とんでもなく凶悪な悪魔。 花「ほら、ボーっと突っ立ってないで早くしなさい!」 花子様は多分まったくそいつに気づいていない。このままでは非常にヤバイ。 花「聞こえてるの?さっさと飛び込んで犬掻きでもして都市伝説を誘い出しなさい。」 俺の理性を刈り取り、消滅させようとする大悪魔、水着姿の花子様が呼ぶ。 このままでは俺の股間の棒が突っ立つ…飛び込むしかあるまい、隠すために。 ザパンと飛び込み浮上すると、飛び込み台に足を組んで座っている花子様が目の前だった。 花「ある意味私が悪いけど、お前、私の水着姿に欲情したでしょ?」 男「そそそそそそんなことはないです。」 花「私に女の魅力がないって言いたいの?」 と言い、左右反対に足を組み直す。このモモの動きたまらんね。 男「うそです!プールの中ではBINBINです!!」 花「正直でよろしい。」 と言ってその足で俺の頭を水につける。息が苦しいが悪くはない。 花子様も泳ぎ始める。まさに現代の人魚!生足魅惑のマーメイド!! ひとしきり遊んでから、一度プールから上がり、プールサイドで休もうとする。 花「ぅひゃうっ!!」 何今のすっげーカワイイ声…。見ると花子様の背中に虫がくっ付いていた。あー小学生時代によく見たなー名前なんだっけ? 花子様の白く澄みわたる肌にくっ付くなんてうらやましい。しかも水に塗れてエロい。 花「とりなさい。」 男「へ?」 花「早く取りなさい!首に重りつけて沈めるわよ!」 合法的に花子様に触れる…虫GJ!そう思って虫を除去する。 男「痛ッ!?刺された?」 ち、タダで花子様に触れられないってか?まあいい、等価交換さ。 花「いないわね、都市伝説。ガセネタだったんじゃない?」 男「まあ、プール使い放題だしいいじゃないですか。花子様の水着も見れるし。」 花「そうね、じゃあ私の水着の閲覧代としてもっとしっかり探して来なさい!」 そうだなと思い、再びプールに入ろうと立ち上がった時、違和感を感じた。だがそんなことよりプールサイドに向かわなければ。 プールに入ろうとした時、ズキンと右目の上に痛みが走る。そして思い出す、この状況を作り出す都市伝説を。 派生は色々あるが、水泳してる時に水生昆虫に刺されて時間が立つとその人は水場を求める。 産み付けられた寄生虫に思考を乗っ取られ、無我夢中で水場で目などをえぐったりかきむしったりして失明や失血死してしまう。そしてその傷口からは水を求める寄生虫が現れる。 だいたいこんなもんだ。 刺された時に気づくべきだった。浮かれて頭が回らなかった。 手が勝手に動き目をえぐろうとする。駄目だと気づけても止まらない。どうしようもない。 花「しっかりなさい!」 ひとまずトイレットペーパーで俺を縛り、目をえぐるのを防ぐ。が… どう戦えば良い?敵は俺の中だ。それも大きくはない。 花子様の顔にも焦りが見える。しかし、決意の表情で言う。 花「今からちょっと賭けをするわ。痛むかもしれないし、失敗したら恨んでくれて良いわ。」 そう言って花子様は俺の右目にキスをする。 軽く吸引力をかけながら、ちゅるっと音を立てながら眼球とアイホール(名前分からん)の間に舌を這わせる。 ちゅる…ぬちゅるる……ちゅ… 男「はっ…くはッ…」 痛くは無かった。むしろ快楽的であった。やがて異なる何かの異物感の後、花子様は離れた。 花子様の唇から、その唾液でぬらっとしたイヤラシイ光沢を持った細いミミズのようなのが、妖美に垂れ落ちた。 なんとか成功したらしい。 寄生虫を踏み潰す花子様。だけど… 男「仲間にしなくて良いの?」 仲間に出来たらしろ、そんな依頼だったはずだ。 花「危害を加えてきたから処分よ。 それに仲間にしてどうするのよ? 偶然悪い都市伝説がプールに来て、偶然虫を捕まえて、偶然刺されるのを、 ずっとプールで待つのなんていても仕方ないでしょ?」 まったくごもっとも。 男「とりあえず病院行きたい。」 メイドさんを呼び、【機関】の息のかかった病院にいく。結果、やはり異常は無かったが目薬をもらった。 メ「今回の都市伝説に関する報告は以上です。」 謎のボス「ふむ、今後も二人の距離を縮めるような敵を担当させろ。」 メ「かしこまりました。」 前ページ次ページ連載 - トイレの花子様
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全てが、終わった。耳鳴りが、止まらない。 「都市伝説の原動力ってなんだかしってる?」 少女は笑いながら少年に問いかけた。 「それはね……それを信じる人たちの想い、なんだよ……」 こうしている間にも少女はどんどんと色を失っていく。 「おい……まてよ……そんなのきいてねえよ……じゃあ俺はお前を消すためにこんなに頑張ったってのかよ!?」 「だまっててごめんなさい……私のこと信じてくれてありがとう。ほんとに、うれしかった。」 そういうと少女は微笑んだ。 「最後に私からのお礼。」 目を閉じ、ゆっくりと少年に近づいてゆき、その唇が触れる刹那、光となって消えた。 ーー私は、都市伝説だったけど、ほんとにいたんだよ?-- いきなりくらいまっくしゅ 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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紅いマントと蒼いマントどっちが好き? ・・・突然そう聞かれた・・・ 俺は普通に自動販売機でコーラでも買おうと思ってたのに・・・ 150円を入れた瞬間うしろから聞かれたんだ 俺はビクっとしちまったよとつぜんだったからな 振り向くと黒いマントに身を包んだ男がいた (なんだこいつ・・・) そう思っていると 「紅いマント白いマントどっちが好き?」 とまた聞いてきた さぁ俺はどっちが好きと言ったと思う? 俺も男の子だ青よりも赤が好きだ だから俺はストレートに 「・・・紅いマントが好きだけど・・・」 と言った すると 黒いマントに身を包んだ男が笑い出した 「ぁはははははははは奇遇だねぇ俺もだよぁはははははははは」 そういいながら笑ってたかと思うと 男が身を包んでいた黒いマントが 紅くなった・・・血のような赤色に・・・ 「ぁはははははははははは」 その紅くなったマントに身を包んだ男は マントのなかから ダガーナイフを取り出し俺の心臓に突き刺した そして上に切り裂いた ・・・俺の胸からはたくさんの血が噴出した 紅マントの男にもその血は降り注いだ そしてその男は言った 「新鮮な血をありがとうぁははははははははははぁははははははははははは」 そこで俺の意識は・・・いや俺の命は終わってしまった 「・・・お兄さん、もう起きてもいいよ?」 「へ?」 「あー、とにかくこの場から逃げ出してくれると・・・俺たちにとってもありがたい」 「な!?」 呆然としてる男はほっといてとりあえずマント野郎に向きなおる。 「・・・これが怪人『赤マント・青マント』か、ただの気が狂った変人にしか見えないんだけどな」 「それって狂人っていうんじゃない?にしてもわざわざ女装する必要がなくて助かった!」 「させられるのは俺だけどなっ!・・・なんだ、アンタまだいたのか邪魔だっ!」 「うげぇ!」 転がっていった男が気絶したのを確認してもう一度マント野郎に向きなおる。 「ぁはははははは君たちは赤いマント青いマントどっちが好きぃいいい?」 「うるせぇ!俺はマント自体好きじゃねぇんだよ!」 「僕は青いマントっていいかなーって思う・・・」 「うおい!?」 答えるのかよ!しかも青とかセンス疑うぞ!? 「ぁはははは俺も好きだよぁはははははは」 さっきと言ってることが違うじゃねぇか! その間にもマント野郎のマントは鮮やかな青に染まっていく。 「ぁはははは苦しむ顔を見せてよぁはははははは」 マント野郎が両手を前に伸ばした、と 「な、水!?」 「青マントは相手を水に沈めるからね、どこでもできるように水を操れてもおかしくはな・・・っ!」 マント野郎の両袖からでてきた水は、怒涛の勢いでアクマを包み込んだ。 だが・・・ 包み込まれていたアクマが水の中から掻き消えた。 「ぁはははは・・・あれ?」 「僕はこっちだよ、マントの人♪」 いつのまにかマント野郎の背後に回りこんでいたアクマが、マント野郎に拳を叩き込む。 見た目以上に重い攻撃を喰らったマント野郎は悲鳴もあげられないまま吹き飛んだ。 「これが僕の能力のひとつ【鏡の中と入れ替わる】能力だよ。ただし、継続時間は10秒未満!」 「未満ってどういうことだ!・・・にしてもお前、あんなに力強かったのか?」 「合わせ鏡が20m以内にあれば、そこそこ身体能力は高くなるよ?もっともそれ以上は動くのもつらいんだけどさ」 「そうなのか、てか20mってけっこうひろ・・・うがっ!?」 突然背後に衝撃を感じて鏡を1枚取り落とす、慌てて拾おうとすると バリン と、鏡がマント野郎に踏み割られた。 「ちくしょう!あれでまだ動くのかよ!」 「ま、まずいよ!合わせ鏡がないと僕・・・」 オロオロするアクマ、だが万策尽きたわけじゃない・・・俺の頭は解決策を導き出していた。 「来い!逃げるぞ」 「え・・・う、うん!」 「ぁはははは逃がさないよぁはははは」 「・・・おい、もし今合わせ鏡があったらアイツをどうする?」 「ぜぇ・・・そうだね・・・鏡の中のアイツと取り替えてやりたい・・・はぁ・・・はぁ・・・」 「なに?」 俺は思わず聞き返していた。 「ぜぇ・・・あの能力はね・・・はぁ・・・二つの使い方が・・・げほっ・・・あるんだよ・・・」 「・・・つらそうだな」 「合わせ鏡がないと・・・はぁ・・・はぁ・・・駄目なんだよ・・・ぜぇ・・・」 「もし、合わせ鏡があればアイツに勝てるか?」 「・・・勝てる、げほっ」 「ぁははははは何話してるのかな?ぁはははは」 くそ、追いついてきやがった! 「いいか、俺がなんとかアイツの注意を引きつけるからお前は攻撃に集中しろ!」 「で、でも合わせ鏡がないと・・・」 「いいからタイミングを外すなよ!」 後ろを振り向いてマント野郎に叫ぶ。 「俺は赤いマントが好きだ!」 マント野郎はこっちを見ると、ニタァと笑い 「ぁははははは僕も好きだよぁははははは」 俺をを追ってきた! 「ほらほら俺を殺してみな!」 そろそろか・・・このあたりの道筋を頭の中で思い浮かべると シュッ とナイフが後ろから投げられてきた。 「くそ、このままじゃやば・・・っ!」 足に走る激痛、よろけた俺はT字路のところでそのまま転んでしまった。 「ぁははははすぐに血まみれにしてあげるよぁははははは」 足から血が流れていた・・・だが、動脈は切られてないらしい。不幸中の幸いだ。 「そうかな・・・?」 俺はマント野郎に笑い返してやると、一枚だけ残った鏡を上に掲げた。 ―― 裏向きで 「・・・し、」 マント野郎が笑みを消し、慌てた様子で俺の頭上を見る。 そこにはカーブミラーがあり・・・俺の持ってる鏡と、合わせ鏡を作り出していた。 「しまったぁ!!」 「もっと周りに気を配るんだったな・・・アクマ!」 「分かってるよ!」 アクマはマント野郎の腕をつかむと馬鹿力でそのまま・・・ 「でぇええええい!!」 ・・・カーブミラーに、投げ飛ばした。 マント野郎がカーブミラーの鏡面にぶつかった・・・と思った瞬間、 マント野郎が俺の目の前に立っていた。 「・・・は?」 思わず声が出た。 「よし、これにて一件落着・・・いひゃひゃひゃ!なんで頬引っ張るのさ!」 「なにが一件落着だ!どういうことだよ、アイツまだいるじゃねぇか!!」 「ふぇ?・・・あ、あーそういうことか」 そんなやり取りをしているとマント野郎が近づいてきた。 ちょっ、やば・・・ 「礼を言うぞ、少年」 ・・・は? 「・・・えっと、つまりね?鏡の中の人と入れ替わったんだよ、「赤マント・青マント」は」 「それとあの態度とどう関係があるんだ」 「鏡の中の人格ってね、完全に本体と同じか逆ってわけじゃないんだよ」 「・・・つまり、あいつの鏡の中の人格は、あんな紳士的だったと」 「そういうこと・・・欠点は、鏡の中の人格がどんななのかが分からないから余計悪化する可能性があるってこと」 まったく・・・驚かせやがって。 「ん、待てよ?ひょっとして『赤マント・青マント』としての能力はそのままなのか?」 「そうだよ?でもこの人なら人殺しには能力を使わないんじゃないかな、ねぇ?」 問われて、マント野郎改めマント紳士はうなづきながら答えた。 「人殺しなどとんでもない。鏡の中から見ていてもゾッとするものだったよ」 「・・・にしても、どこで使うんだよ【出血量を調節する】能力なんて。【水を操る】能力ならまだ使い道ありそうだが」 「それはおいおい考えるさ・・・では、そろそろ失礼するぞ。君たちには感謝しきれない・・・この借りはいつか必ず」 「そんなに深く考えなくていいのに・・・さようなら」 こうして「赤マント・青マント」と俺たちの戦いは集結したのだった。 「ねー、帰りにコンビニでアイス買ってよー」 「駄目だ。足から血なんか流してるのにコンビニなんか行けるかよ」 「ぶー」 はぁ・・・本当にこいつはワガママで悪魔っぽい・・・というかアクマだけどな。 「わかった、明日になったら買ってやるよ」 「わーい!」 明日の予定にアイス購入・・・と脳内で付け加えながら、 俺たちは家に帰るのであった。 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ 82
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…街中で、ポスターを貼っているあいつの姿を見かけた 正直、顔色はあまりよくない 相変わらず、あまり休んでいないのだろう 「よぅ」 「あ…あなたですか。最近、よく会いますね」 小さく、会釈してきた黒服 ぷるんっ、とのその拍子に胸が揺れて ……だから、そこを見つめてばっかりじゃ駄目だろ俺ぇえええええ!!! 「明日で、元に戻るんだったか?」 「はい。明日には、毒ガスの効果が抜け切るはずですから」 …あぁ、やっぱり勿体ねぇよなぁ… ……って、だからそうじゃなくて!! 「ご用件は、それを聞きにきただけですか?」 「いや、そうじゃねぇよ…」 手を差し出してやる 首を傾げてきた黒服に、続ける 「貸せよ、そのポスター。貼っていかないと駄目だんだろ?」 「……いえ。これは、私が頼まれた仕事ですから」 …頼まれた? こんな疲労困憊のこいつに、頼み事をしたと言うのか どこのどいつだ、そのやろうは!? この黒服は、頼み事を断るのが苦手だと言うのに! ムカムカしたものを抱えつつ、俺は手を引っ込めない 「お前一人でその量は大変だろ?半分くらい、俺が張ってきてやるから」 全部、と言ったら、こいつはきっとやらせてくれない さっき言ったとおり、自分が頼まれたから、といって引かないだろう …だから、半分だけ せめて、これだけは請け負いたい 「……それでは、お言葉に甘えましょうか」 苦笑して、ポスターを半分ほど、俺に手渡してきた黒服 それと、メモを渡された …何か、文字がぐっちゃぐちゃになってて読めない部分が大半なんだが… 「このメモの…ここから、下の部分。大体の住所しかわかりませんが、この辺りに張ってきてください」 「わかった。つか、メモ、俺に渡して、場所わからなくならないか?」 「メモの内容は暗記していますから、問題ありません」 記憶力も良くないと、黒服の仕事はやっていけないものなのだろう こともなげに、こいつはそう言って見せた …そうか、と頷く 「……なぁ」 「はい?」 「『夢の国』に対して、そっちの「組織」は、どう言う動きを?」 俺の、言葉に…黒服は、やや、悲しそうな表情を浮かべた こいつにとって、あまりいい内容ではなさそうだ 「…取り込まれた子供の身も、契約者の身も考えずに…相手の戦力を削る作戦が、つい先日、決行されたそうです…」 「………っ!」 …それは、つまり 「夢の国」に取り込まれている子供や、契約者が…一部、犠牲になったということか なんと言う、非道な作戦 将門様が知ったら、激怒するだろう …そして こいつは、その事実に悲しんでいる その作戦を、止められなかった己の無力さを…悔やんでいる あんな組織、さっさと抜けてしまえばいいのに こいつは、どこまでも、自分は「組織」の歯車であると言って、縛られ続けている …あんな組織、こいつには似合わないのに こいつは、それから離れることができない 「…胸糞悪ぃな」 「……同感です」 苦笑してくる黒服 力なく、首を振ってくる 「これが…組織、ですから」 「……………」 …こいつは 組織に不満を持ちながらも しかし、自分は組織の歯車だからと……組織から離れたら、生きられないと、そう考えて 組織から、離れることができないまま 俺は、こいつを組織から解放させてやりたいのに ……未だに、それができないままだ 「…しかし。これ以上、そんな事をさせる訳にはいきません…一人でも多く、「夢の国」の黒いパレードに取り込まれてしまっている子供たちを、救う事ができればいいのですが…」 「……無理、すんなよ?考えがあるなら、俺にも協力させてくれよ?」 今回の件について、ある程度「組織」と協力体制をとってもいいと、将門様から言われている 特に、この黒服に協力するのなら、文句は在るまい こいつは、俺たちにも、この危機を教えてくれたのだから 俺の言葉に、黒服はどこか自嘲気味に、笑ってきた 「…そう、ですね。その時が来たら…ご協力、願うかもしれません」 きっと、こいつは 己の無力さを嘆いているのだろう 自分には、戦う力がないと、嘆いているのだろう どうか、嘆かないでくれ あんたには、戦う力はないかもしれないけれど …俺は、そんなあんたに、救われたんだ 「…それでは、これで。……お願い、しますね」 「あぁ。任せろ」 黒服は、俺に小さく頭を下げてきて そして、少しふらつきながら、この場を後にする …くぉら、周りの男共 あの胸に見とれてんじゃねぇ!! いや、俺だって、うっかり胸に注目しちまったけど!! 後半、わりと頑張って見てなかったんだぞ、こら あれに触りたい誘惑は、最後の最後まで堪えたんだ!! だから見るんじゃねぇえええ!!!!!! 黒服の胸に見とれてやがった野郎共を、威嚇してから 俺は、ポスターを張りに行こうと歩き出し… 「………げ」 「………」 …小さな、餓鬼が こっちを見ている事に、気付いた 以前、顔をあせた事がある、少女 「…また会ったな」 「…………」 向こうは、ぷい、とそっぽを向いてきた なんだ、俺とは会話もしたくないってか? どうやら、黒服が、今、気にかけているらしい少女 多分、契約者で……あまり、恵まれた環境にいるのでは、ないのだろう だから、あいつが気にかけている …そして 多分、以前会った時の態度から、するに こいつも、あの黒服の事を、少しは気にかけている ……それなら この話を持ちかける価値は、あるかもしれない 「……お前、あいつのこと、心配か?」 「え?」 「それと……お前は、「組織」の一員か?」 俺の、その質問に こいつは、前半には答えてこず、後の方にだけ答えてきた 「…あんな組織、できれば関わりあいたくもないわよ」 「………そうか」 良かった こいつは、組織の一員ではないのか それなら…話しても、いいだろう 「…あの黒服が心配なら、ちょっとついて来い。話がある」 「……?どういう事よ」 「いいから」 そう言って、俺はさっさと歩き出す 少し迷ったようだったが…そいつは、俺の後をついてきた やっぱり、あいつの事が心配だったようだ なら……俺と、同じだ ひとまずは、このポスターをある程度貼っていかないと 安心して話せる場所を探しながら、俺はポスターを張って回る事にした …そして 結局行き着いたのは、カラオケ店 態度の悪い店員が一人きりで、管理なんぞおろそかな店 多少、客の組み合わせがおかしくとも、店員は何も言ってこない だから、俺たち「首塚」組織の面子で、たまに会議とかに使っている店だ 入っても、歌う訳じゃなく、相談しあったり、近況を話し合ったりするのによく使っているのだ 適当な部屋を取って入り…話を切り出す 「…ぶっちゃけて言う。俺は、あの黒服を組織から解放したい」 「……解放?」 「あぁ」 そうだ 解放してやりたいのだ あの黒服は、あの組織に相応しくない …いや、違う、逆だ あの組織が、あの黒服に相応しくないのだ あいつは優しいから、慈悲深いから …あんな非道な組織、あいつに相応しくない それに… 「解放はできなくとも……もし、万が一。あいつが組織に消されそうになった時、助けたいと思っている……あいつは、組織に消されかねない行動もとっている。お前も、それはわかってるだろ?」 「…………」 少女は、俺の言葉に俯いてきた 多分、わかっているのだろう あいつが、そんな行動も取っている事に かなりの数の都市伝説や契約者を見逃し、時には庇っている事を 「…方法が、あるというの?そんな時、黒服を助ける方法が」 「ある」 きっぱりと、俺は答える …やっと、一つ見つけたのだ その、方法を 「あいつは、「組織」の黒服だ。「組織」に不要だと判断されたら、その時点で消えかねない。ここまでは、わかるな?」 「………」 「そうなっちまうのは、あいつが「組織」の黒服だから…「組織」と言う都市伝説の、一部だからだ」 「組織」 それは、都市伝説 そして、黒服は都市伝説の、一部 「つまり、あいつも「都市伝説」である事に、変わりはない。どれだけ、人の心を残していても、あいつは「都市伝説」なんだよ」 「…何が言いたいの?」 「つまりだ……あいつだって、都市伝説なんだから。人間と、契約できるはずなんだよ」 ぴくり こちらの言葉に、少女は反応した はっとしたように、顔をあげる 「ぶっちゃけ、「組織」の実態自体は、構成員すら知らないって言われているらしいな。「組織」の首領が、「組織」と言う都市伝説と契約しているのか、そもそも、バカデカイ野良都市伝説なのか、その辺りは、よくわからねぇが……少なくとも、黒服たち事態、都市伝説なんだ。契約は可能なはずだ」 「…つまり…黒服と、契約すれば……黒服が、「組織」に不要だと、判断されても……消滅しないかも、しれない。そう言う事?」 お、頭の回転の早いお子様だ そうなれば、話は早い 「そうだ、だから…俺は、あいつと契約したいと思っている」 「…………」 こちらの言葉に、むっとしてくる少女 だが、無視して俺は続ける 「だから、お前も協力しろ」 「…なんで、私があんたなんかが、あの黒服と契約する手伝いを…」 「お前も、あいつと契約してくれ」 ……… …………… 「え?」 俺の言葉に 少女は、きょとん、としてくる 「…私、も?」 「あぁ…ぶっちゃけ、俺一人があいつと契約しようとしたら、絶対、あいつに反対される…属性が違いすぎる多重契約は危険だ、って言われてな」 そうだ きっと、あいつは反対してくる 多重契約して、都市伝説に飲み込まれやすくなる事を心配して 絶対に、反対してくるに決まっている …だから 「多分、お前が一人で、あいつと契約するといっても、それは同じ結果になる。反対してくるはずだ…だが、俺とお前。二人であいつと契約するなら、問題ないはずだ」 「………ストップ」 何だよ 調子よく話しているのに 「…一つの都市伝説が、多人数と契約なんて、できるの?」 「半分、裏技みたいなもんだがな。可能だぜ」 それは、確かである はるか昔、復讐のために、2,3人の男が将門様と契約した事があったらしい 一人だったら、将門様の強大すぎる力に、あっと言う間に飲み込まれる だが、それを複数で分担して背負えば…ある程度は、耐えられたらしい そうやって、その男たちは将門様の力を借りて、復讐した 「ほぼ同時に契約を結べば、それは可能だ。そして、それなら…多重契約でも、都市伝説に飲み込まれるリスクは下がる」 それなら あいつは、承諾してくれるかもしれない 俺は、それに賭けたいのだ 「俺一人が申し出ても無理だ。でも、お前も一緒に申し出れば、あいつは承諾してくれるかもしれない」 「………」 「今すぐ、返事をしろとは言わねぇ。俺の携帯の番号教えとくから、答えが決まったら返事しろ」 そう言って、紙に俺の携帯の番号を書いて手渡す …悩んでいたようだったが、こいつはそれを受け取った 「…あ、それと。抜け駆けすんなよ!?俺は、あいつと契約して、あいつの力になりたいんだ。他の奴を割り込ませるなよ!?」 「……わかってるわよ」 やや不機嫌そうに、少女はそう言って来た 今日は、ここで別れる 返事は出来るだけ早く、とだけ言っておいた …そうだ これが、俺が見つけた答え あの黒服を、助ける方法 これしか、見つけられなかった そして、この唯一の方法は…俺一人では、実行できない だから、必要だったのだ 俺のように、あの黒服を心配しているであろう…気にかけているであろう、奴が 俺にとって、あの黒服は父親のようなものだ あの少女にとって、あの黒服がどんな存在かは、わからないが…気にかけているのは、心配しているのは、きっと事実 だから、その唯一をあいつにも話した あいつが話に乗ってくれれば、俺は黒服を助けられる 乗ってこなかったら… その時は、他に話に乗ってくれそうな奴を見つけ出すか これが唯一であると諦めず…他の方法を探すかだ 「…絶対に、あいつを……俺たちのものに、してやる」 二人がかりで説得すれば、きっと大丈夫だ 絶対に、諦めない あいつから預かったポスターを抱えながら 俺は、その決意をしっかりと抱えるのだった to be …? 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ep.206 都市伝説レジェンド級!? 「犬鳴村について」 放送内容 参加メンバー Tomo K-suke その他 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「いい?本家様のお子様に、粗相がないようにね?」 母の言葉に、兄と共に頷き、自分はその部屋へと向かった 両親達が、本家様と話している間、自分達は、その子供の相手をすることになった 自分より、少し年下の少年だと聞いていた 歴史あるこの家に生まれた、その少年 だが、その両親は、その少年を一般の子供と変わらないよう、育てようとしているのだとも聞いていた ならば、自分達は、その少年にどう接すればいいのだろう? 答えは見つからないまま、兄に手を引かれ、その部屋につく 「…失礼します」 「……します」 そっと、襖を開ける 板の間の、奥 そこに、その少年の姿はあった 長い前髪で目元が隠れていて、表情はよく見えない ちょこん、とその広い部屋に正座して座って…何かを、じっと見つめているようだった 確か、この部屋には、この家に代々伝わると言う刀が安置されていたはず それを、見ていたのだろうか? 一度だけその刀を見た事がある自分は、あの刀のどこか得たいの知れない雰囲気に圧倒され、恐怖した覚えがあるのだが… この少年は、それが平気だとでも言うのだろうか 「………?誰、だ?」 自分達に気付いた少年が、こちらを向いて首を傾げてきた 和装姿の、幼い少年 …この部屋だけ、時代が今と違うような、そんな錯覚 「お初にお目にかかります。獄門寺家分家 長男の、獄門寺 龍鬼です」 兄が、先に挨拶する …そっと突付かれ、慌てて自分も、頭を下げた 「…お初にお目にかかります。獄門寺 菊、です」 「……そうか」 少年は、顔の向きだけではなく、体ごときっちりと、自分達に向き直ってきた そして、頭を下げ、名乗る 「……獄門寺家本家 長男 獄門寺 龍一だ」 名乗り、頭を上げた少年…龍一 その時、一瞬見えたその瞳に………ゾクリ、と、戦慄を覚えた 自分よりも、年下の少年 まだ、あの時、4,5歳程度だったはず だというのに……その眼差しは、酷く、鋭かった 龍一の両親は、龍一を、普通の子供と同じように育てようとしていた だが、それは無理だろうと…あの目を見た時に、実感した 獄門寺家の、本家に生まれた者 その長男としての、責務 それを、龍一は、あの年齢にして、恐ろしい程までに自覚していた まるで、自分はその為に、その為だけに生まれてきたのだとでも言うように、それを理解して、まっとうしようとしていた 『まるで、八代目様の生まれ変わりのようだ』 親戚一同が、組の人間達が言っていたその内容を、その瞬間、理解する 目の前にいる龍一という少年は、八代目様の生まれ変わり 獄門寺家のあり方を決定付け、その宿命を作り上げた男 修羅に最も近く、しかし、その一歩手前で踏みとどまり、人として生き人として死んだと言うその人の、生まれ変わり …分家に生まれた自分達は、いざとなれば、龍一の代わりとなるのだと 本家を支えるために、いざという時はその本家となって生きるのだと、そう言われて育てられていた だが、あの瞬間に、自分は気付いてしまった 八代目様の生まれ変わりそのものである龍一の代わりなど、自分達には決して無理なのだ、と ならば 分家の子として生まれた、自分は その存在理由すら果たせないのならば、どうすればいいのだ? その日、獄門寺 菊は、10にも満たない年齢で、己の生まれた理由を疑問視することとなった そして、自分なりの答えを何とか見つけ出し………今に、至る 現在 学校町、とあるマンションにて 「…理解した」 「ほんっとーに、理解したんでしょうね?」 「死ねばよかったのに」は、ジト目で菊を見つめる あぁ、と頷いてくる菊 ぱさぱさと長い前髪が揺れて、一瞬だけ、その目が見えた どこか眠たそうな、しかし、鋭さの混じる眼差し その目に、一瞬、「死ねばよかったのに」は、ゾクリと体を振るわせた …ただの、人間の癖に その癖に、どうして、こいつはこんなに鋭い目ができるのだ 「理解したんなら、どうして、まだ契約したいと思う訳?人生歪むって言ってるでしょ?」 「……どうせ、元々歪。生まれてきた目的すら、果たせないのならば、いっそ歪んで、別の方向に役立てた方がいい」 淡々と、そう告げてくる菊 この人間が何を考えているのか、正直、「死ねばよかったのに」には、理解できない 自ら都市伝説と契約を望み、その運命を歪める事を望むとは …狂人なのか、それとも、よっぽどの馬鹿か それとも……何かしらの、強い信念があって、それに利用できるとでも考えたのか 「ま、契約してもらえれば、私にも若干のメリットはあるからいいけど…でも、私、たいした都市伝説じゃないわよ?戦闘能力が高い訳でもない、魔法みたいな素晴らしい力が使える訳でもない……正直、契約によって能力が強化される事はわかるけど、どう言う方面に強化されるかもさっぱりよ」 「……問題はない」 あぁ、もう、どうするべきか、「死ねばよかったのに」は考える …契約は、彼女にとっても渡りに船である あのまま、意味もなくただ人を驚かし続けるなんて、飽き飽きだ もっと、違うことがしたい 女の姿に生まれ、大体それっぽい精神をもってして生まれてしまったのだ 年頃の女のように、綺麗な服の一つだって着てみたいし、化粧だってしてみたい 化粧っ気もない顔で、こんな白い飾り気もない服を着ているだけも、もう嫌だ …だが、この菊と言う人間との契約に、不安を覚えない訳でもない とにかくにも、何を考えているのか、さっぱり理解できないのだ どうにも、こいつと関わっていると厄介事に巻き込まれそうな気がする (…だと、しても) 結局、自分はこいつに、ついてきてしまったのだ (選択肢なんて、ないんでしょうね) 小さくため息をつく …選択肢がない? いや、違う ここまでついてきた時点で、既に自分は選んでいた ただ、それだけなのだろう 「わかったわ、契約しましょう…後悔すんじゃないわよ?」 「…後悔する必要など、存在しない」 そっと、手を握る 都市伝説との契約方法には、様々なものがある 「組織」だか言うところは、簡単に都市伝説と契約できる契約書なる物を作ったらしいが…「死ねばよかったのに」からすれば、そんな物、とんでもない 自分達都市伝説に対する、侮辱以外の何ものでもないと、憤りすら感じる 何故、都市伝説との契約に、様々な種類があるか? …都市伝説にとっても、契約とは重要なものなのだ その方法にも、意味が存在するのだ その過程を無視して、強引に契約させる契約書なんて、とんでもない そんな物、この世から消えてしまえとさえ、考える …まぁ、そんな物騒な思考はさておき 彼女は、契約を試行する 「死ねばよかったのに」 彼女の名前の由来 彼女という都市伝説の本質の言葉 それを、菊の目を見つめ、しっかりと告げる ざわり、全身に、何かが駆け抜ける 己の中に、新たな力が湧きあがる感覚 自分と菊の間に、精神的なつながりが生まれる感覚 それを、噛み締め…契約が、終了した 「…大丈夫?まさか、飲まれちゃいないでしょうね?」 「……問題ない」 菊に、変わった様子は見えない まぁ、自分の逸話的に、契約者に何らかの能力を与える可能性は低いのだ 飲まれてでもいない限り、変化はおきまい 「…お前は」 「?」 「お前は、問題ないのか?」 短く、告げてくる菊 一応、気を使ってくれてはいるようだ 「問題ないわよ。あんたとの契約で、自分の存在がしっかり固定された感覚があるし」 「…そうか」 そう、何も問題はない …今の、ところは 「……ふぁ。契約終わってほっとしたせいか、眠たいわ…」 「…布団を準備する。着替えておけばいい」 「寝巻きに着替えろって?言っとくけど、私、服はこれ以外もってないわよ?」 「……問題ない」 立ち上がる菊 壁をスライドさせると…そこに、たくさんの服が、かけてあった どうやら、このマンションの一室、片側の壁一面が、クローゼットになっているらしい そこから、菊は何着かの服を取り出し、「死ねばよかったのに」の前に並べた 「…何これ」 「寝巻き。好きな物を選べばいい」 言われて、それを見つめる 確かに、それらは間違いなく寝巻きだ ……女物の 「どうして、女物の寝巻きをこんなに持ってるのよ?」 「サンプル」 「…は?」 「サンプル」 短く、簡潔に答えてくる菊 …サンプル? どう言う事だ? …まぁ、いいか とにかく、眠たい 「死ねばよかったのに」が着替え始めると、菊は背中を向けてきた ごそごそと、布団を敷き始めている どうやら、「死ねばよかったのに」用の布団は、客人用らしい ちょっと、立派な布団に見える とまれ、着替えていた「死ねばよかったのに」だが 「----っ!?」 視線を感じ、動きを止めた 都市伝説は、都市伝説を引き寄せる …まさか、もう、何か来たのか!? 急いで、視線をめぐらせると 「…っ隙間男!」 「………?」 「死ねばよかったのに」の声に、菊が視線を向けてきた 「死ねばよかったのに」の、視線の先 それは、家具と家具の間の、小さな隙間 人間など入り込めるはずもない、そこに……人の姿が、見えた 男の姿が 隙間男 名前通りの存在 隙間に住まう不気味な存在 特に、人間に対して害があるという話は聞いた事がない それでも、油断すべきでは、ない 一応、自分は菊と契約したのだ 菊を、護らなければなるまい 「…何の用よ」 隙間男を睨みつける「死ねばよかったのに」 その視線に、隙間男は、やや怯えた様子を見せながらも …ぐ、と 親指を、たてた わりと、いい笑顔で 「な、何だってのよ!?」 「……着替え」 「え?」 「中途半端」 菊に言われて、自分の姿を見下ろす 白いワンピースを脱ぎかけの自分 ちなみに、下着はない 素肌の上にワンピースをまとうと言う、自分でも突っ込みたくなるような格好だったのだ、「死ねばよかったのに」は で、そんな彼女が、ワンピースを脱ぎかけている すなわち、肌は思いっきり露出してる訳で… ……… ………… …………… 「死ねばよかったのに」の望みを、菊は理解した それは、彼女と契約したからできた事か、それとも、この時の彼女の考えが、非常にわかりやすかっただけか 部屋を見回し、長い定規を手渡す ぐ、と「死ねばよかったのに」はそれを構え がすっ!! 「あだっ!?」 がすっがすっがすっ!!!! 「っちょ、痛い!?痛い痛いやめてっ!?着替え覗いたの悪かったからやーめーてーーーっ!!??」 がすがすがすがすがすがすがす 隙間男を、ひたすら定規で突きまくる「死ねばよかったのに」 地味に痛いのか、悲鳴をあげ続ける隙間男 …逃げられないのだろうか、そこから 菊は、しばし、その様子を見つめて …そう言えば、布団を敷くのが途中だったと思い出し、作業を再開させた そう言えば、「死ねばよかったのに」に名前がついていないな、と 後でつけてやった方がいいのだろうか、そんな事を、考えながら 続くかどうか不明 前ページ次ページ連載 - 死ねばよかったのに
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ゆっくりと、夕日が沈んでいく 夕暮れ時、黄昏時 都市伝説の、時間 「…むぅ」 そんな、時間帯 一人、とぼとぼと歩いている少女の姿があった 少女、ニーナは小さくため息をつく 「…本当、私は未熟デス。クールトーを逃がしてしまうだなんて…」 一ヶ月以上も前の出来事 それを、未だに彼女は引きずっていた クールトー 悪魔的な存在と遭遇しながら、無様に踏みつけられて意識を失い、逃げられた …あれが、もし、人を害していたら それは、逃がしてしまった自分の責任ではないか 「………我らが主よ、どうか、私を罰してください………」 自分を罰する方法を、考え続けた しかし、考えはまとまらず…………ただ、自己嫌悪だけを重ねていく 遭遇した、凶悪な悪魔……都市伝説には、全て天罰を与えてきた しかし、それでも…クールトーを逃がしてしまったという責任は、彼女の小さな体に重くのしかかる 「…司祭様…」 そっと、胸元で揺れる木で出来た十字架……「ドッグウッド伝説」に触れる 悪魔を滅する為に、契約した都市伝説 司祭様から、与えられた力 この力を持ちながらも……自分は、こんなにも、無様 以前、倒せなかったドラゴンもそうだ たくさん、戦い方を学び、強くなったつもりだったけれど 自分はまだまだ、こんなにも、力が足りないのだ 「…こんな時………カイン司祭なら、どうしたのでしょう…」 自分の上司よりは、位が下の、とある司祭の事を思い出すニーナ 彼女に、都市伝説の力の使い方を教えてくれた青年 戦闘向きではない都市伝説と契約していたが、しかし、ニーナに戦い方をも教えてくれた青年だ 生真面目なあの青年だったならば、自分と同じような状況に陥った時、どうするのだろうか? ……いや、きっと、彼ならば、このような状況にはなるまい ますます、憂鬱な気分になって、とぼとぼと歩き続けるニーナ …くぅきゅるる お腹が小さく鳴る 相変わらず、空腹である 「……主よ、どうか、もっと、罰をお与えください……」 こんな、空腹よりも もっと、もっと、重い罰を 私は、それに耐え、悪魔を滅し続けますから 祈るように考えながら、ニーナは空き地に張ったテントへと、戻っていった …今日も、また 目標とする淫魔が見つからなかった事に、落ち込みながら 遠き、異国の地 とある、修道院にて その軒先を、一人の青年が掃除していた この国の男性にしてはやや背が低いが、整った容姿をしており、バランスの良い体格をしている 青年が、掃除を終えたところで……一羽の小鳥が、その肩に舞い降りてきた ちちち、と、囁きかけるように、青年の耳元で小さく鳴く 青年は、その小鳥を追い払う事なく、その囁きに小さく笑みを浮かべて耳を傾けていた 暖かな日差しの下、その様子はどこか微笑ましい光景だった ……しかし そこに、訪問者が近づいていく その気配を察したように、小鳥は飛び去ってしまった 「あ………」 飛び去る小鳥を、どこか寂しそうに見送る青年 …小鳥が完全に見えなくなったところで、訪問者がやってきた事に気付いた 「エイブラハム司祭…?何か、ご用ですか?」 「カイン司祭。お忙しいであうところ、申し訳ない」 青年…カインの元に訪れた男性…エイブラハムは、人の良い笑みを浮かべて、帽子を取った 白銀の髪が、日の光を浴びてきらきらと輝く 「ニーナの事を覚えているかね?」 「…?はい、覚えていますが。お………私が、彼女に都市伝説の扱い方や戦い方を教えていたのは、つい半年前までの事ですから」 彼女が何か?とカインは首をかしげた 実際の戦いの場に出た事がない自分が、ニーナに教えられる事は、そう多くなかった 戦い方とて、基礎を教え込んだだけだ ニーナと共に居た時間は、そう多くない そんな自分に、エイブラハム司祭は何の用でやってきたのだろう? 人ではない存在との戦い方について自身に教えを説いてきた司祭相手に、カインは疑問に思う 「ニーナは、今、日本にいるのだよ」 「……日本に?」 「学校町、と言う街だ。本当ならば、日本にいる「教会」のメンバーと合流させるべきだったのだが……手違いがあってね。彼女は、今、一人なのだよ」 「……!?彼女は、まだ子供だぞ!まさか、一人で行かせたのか……………ぁ」 驚きのあまり、素の話し方に戻ってしまったカイン エイブラハムは、小さく苦笑した 「周りに信者達がいる訳でもない。無理に言葉を丁寧にしなくとも良い」 「……ですが」 「まぁ、その生真面目さが君の良いところなのだがね」 話を戻そう、と表情を引きしめるエイブラハム …カインも、表情を引き締める 「…とにかく。今、ニーナは一人で、その学校街と言う街にいるのですね?」 「あぁ、そうだ……誰か派遣しようかとも思ったのだが、うまく人材が見つからなくてね………そこで、君に頼みたいのだよ。「教会」の一員である事を隠して、学校街に入り込み、ニーナの傍にいてやって欲しい」 「……「教会」の一員である事を隠して?何故ですか?」 「事情があってね……あの街は、本来、我ら「教会」にとって不可侵の地なのだよ……それでもなお、やらねばならぬ神の使命が、ニーナには、ある。その手伝いをしてやって欲しい」 「……私にできる事でしたら、協力します。すぐに、日本に向かう準備を整えます」 背筋を伸ばし、答えるカイン 詳しい事情はわからない だが、遠い異国の地で、あの小さな少女は心細い事だろう 自分が心の支え二なってやれるのならば、傍にいってやりたい 「あぁ…………頼みましたよ、カイン司祭」 カインの答えに、笑みを浮かべるエイブラハム その笑みの奥にあるものに、カインは気付かない それでは、と一礼して、立ち去っていくエイブラハム カインは、その背中を見えなくなるまで見送った ……ちちちっ、と 小鳥が、カインの元に戻ってきた その肩に改めて泊まり、首をかしげる 「……大丈夫だ。問題ない」 カインは小さく微笑むと、その小鳥をそっと撫でて…教会の中へと、入っていった 己に待ち受ける運命に 気付く様子など、カケラも、なく to be … ? 前ページ次ページ連載 - 我が願いに踊れ贄共
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「天照と「月読の…「「「東京」バックグラウンドパート4」」…」ー!」 「さあ、早いもので4回目となりましたこのバックグラウンド、いつものようにこの「特設スタジオ」から堂々電波ジャックの生放送でお送りしてまーすっ!」 「テンションタカクテツイテイケナイ…」 「それにしても、あの豪快すぎる魅せ技は流石に無いよねぇ?」 「絶対にありえない…」 「だってあんなん使われたらそりゃどんな都市伝説だってイチコロに決まってるでしょ?そしたら私らの出番無くなっちゃうじゃない?」 「…イキツクサキハヤッパリソコカ」 「 何 か 言 っ た ? 」 「パワーバランスが大事って…」 「それならいいけどね♪」 「タスカッタ…」 「それでは、お便りのほういってみましょうっ!」 「P.N.「メリーちゃんとラブラブ(はぁと)」さんからのお便りですっ!」 「外部の人からお便り届くのは初めてですね…ミナサマガタナラゴゾンジナノデショウケド」 「ん?どしたの?」 「なんでもない…ただの独り言…」 「「みなさんこんちはっ!」 「ウザッタイテンションガマタヒトリ…」 「ワイはかわいいお人形さんとイチャコラしながら都市伝説と戦うかっこええ契約者なんですが」 「リアジュウシネ…ッテイウカニンギョウトイチャコラッテハタカラミタライタイコニシカミエマセンヨ?」 「あんたらはどの辺を活動拠点にしているのか教えてほしいなぁーと思って手紙出しました!」だそうですっ!」 「そもそも貴方は索敵に優れてるって自分で言ってませんでしたか?だったら自分d」 「そういえば私も気になってはいたのよねー」 「勝手に割り込まないでください…」 「という訳で、この件に関しても作者からお手紙を預かってきておりますっ!」 「その準備の良さを他に生かせませんか?」 「えーと、何々「活動拠点といたしましては、主人公たちが今まで戦った場所が全部繁華街かその周辺なので、」 「いつも通りの作者の投げやりですね…」 「今まで見てきた学校町の設定を元にすると、やはり南地区に活動拠点があると推測せざるを得ないと思われます。」 「ナゲヤリニモホドガアル…」 「なので、南地区周辺だと思われます。」だそうですっ!」 「なぜ作者は私達の活動拠点を明かす必要があったんでsy」 「へぇー!私たちは南地区周辺に存在してたんですか!」 「だから割り込まないでください…」 「これから話の展開が広がってきそうですねっ!」 「という訳で、今回もいつも通りの展開でお送りいたしましたこのバックグラウンド」 「あぁー!私抜きで勝手に締めるなぁ!この番組では、お便りをどんどん募集しておりますっ♪」 「宛先は郵便番号×××‐×××× ××県「バックグラウンド」まで…」 「あなたのお便り、「「待ってまーす」」…」!」 「ワタシニナニカモンクデモアルノ?」 「ダカラソンナコトヒトコトモッテダカラアマテラスサンオネガイダカラグーダケハヤメテグーダケハァー!」 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
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はらり、はらり 桜の花びらが、静かに舞い散る 北区にある、古ぼけた教会の裏 大きな桜の木の下にて 「そっか…宏也さん、妹さんがいたんだ」 「あぁ」 佳奈美を背後から抱きしめるように座っている黒服H、広瀬 宏也 …そんな体勢に、佳奈美はやや赤くなっていたりもするのだが まぁ、他に誰も見ていないので、問題あるまい 「まぁ、俺はこの通り、都市伝説に飲み込まれて黒服になっちまった訳で。会ってもわからないだろうけどな」 「……寂しく、ないの?」 ぽつり、そう尋ねてきた 宏也はぽふぽふと佳奈美の頭を撫でながら、苦笑しつつ答える 「まぁ、寂しくないっちゃあ嘘になるがな……いっそ、気付かれない方がいい、って事もあるからな」 自分達兄妹は、都市伝説を憎んでいたから …自分が、都市伝説と化した事を知ったら 妹の心に、どれだけの傷を与えてしまうか …それを考えると、伝える事など、できないのだ 「…そんな事、ないよ」 きゅ、と 自分を抱きしめてきている宏也の手に、そっと手を重ねて 佳奈美は、そう呟くように言う 「だって、家族なんだから……家族と会えないなんて、悲しいから…」 「………佳奈美」 俯く佳奈美の体を、優しく抱きしめる宏也 …佳奈美の優しさが、宏也の壊れた心に、染み渡る 「…ありがとうな。佳奈美」 「ふ、ふぇ!?」 ふわり 額に、口付けを落とされて ぽぽぽ!!と、佳奈美の頬が、赤く染まった 「ひ、宏也さん!?」 「…お前のお陰で、決心ついたわ……色々とゴタゴタ片付いたら、妹に話してみる」 宏也の、言葉に 佳奈美はほっとしたように、笑った 「そっか……妹さん、きっと、わかってくれるよ」 「あぁ……だと、いいな」 その為にも…まずは、成し遂げるべき事を、成し遂げなければ 佳奈美の体を抱きしめたまま、宏也は決意を固めるのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者